UFS 5.0、次世代スマホ向け高速ストレージ規格が完成間近 最大10.8GB/sを実現へ

SoC・半導体

JEDEC が開発を進める次世代ストレージ規格「UFS 5.0」が最終段階に近づいている。理論上の転送速度は最大 10.8 GB/s に達するとされ、これまでの UFS 4 系を大きく凌駕する性能改善が期待される。今後のスマホ世代では、UFS 5.0 が標準化の中心となる可能性が高い。

UFS 規格の概要と UFS 5.0 の位置づけ

UFS(Universal Flash Storage)は、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器向けの内部ストレージ規格である。従来、UFS 4.0/4.1 が採用されてきたが、UFS 5.0 はこれを進化させた次世代版である。
UFS 5.0 は UFS 4.0/4.1 と後方互換性を備える設計が想定されており、既存のデバイスやコントローラとの相性リスクを抑えつつ移行できるよう配慮されている。

性能と効率の強化ポイント

UFS 5.0 の主たる改善点は以下の通りである:

  • 転送速度の大幅向上:最大で 10.8 GB/s のシーケンシャル転送が可能と見込まれ、UFS 4 系と比して約倍以上の性能を達成する可能性がある。
  • 信号品質とノイズ隔離:PHY とメモリサブシステム間のノイズ分離やリンクの等化処理を内部に備える設計が示されている。
  • セキュリティ強化:インラインハッシュ(Inline Hashing)機構が導入され、データの整合性チェック機能が強化される見込みである。
  • 省電力設計:高帯域ながらも消費電力を抑える制御が組み込まれ、バッテリー駆動機器においても実用性を担保する狙いがある。

これらの改善は、アプリの起動速度、データ読み書き、キャッシュ運用、AIワークロードなど、ユーザー体験のボトルネックとなりやすい領域に直結する。

導入タイミングと課題

UFS 5.0 の正式導入は早くとも 2027 年以降になる見込みだ。最初に採用が期待されるのはフラグシップモデルであり、量産性とコスト性をクリアした段階でミドルレンジ機にも波及するだろう。

ただし、導入にはいくつかの課題も存在する:

  • 実効性能と制御最適化:理論値に近づける制御設計やドライバ最適化が不可欠であること。
  • コントローラ・ファームウェア対応:既存のコントローラや SoC が UFS 5.0 に対応できるか改修を要する可能性。
  • 互換性と移行性:既存の UFS 4.x デバイスや設計との互換性を保ちつつ、移行を円滑に行えるか。
  • コストおよび歩留まり:高性能仕様の NAND チップや制御回路の歩留まり確保が導入時のハードルになり得る。

意義:スマホ記憶基盤の世代交代へ

UFS 5.0 の導入は、端末の内部記憶処理性能を根本から引き上げる可能性を持つ。これにより、アプリ読み込み、画像/動画処理、キャッシュ運用、AIモデル呼び出しなどの高速化が進み、体感性能向上につながる。

モバイル機器は性能が横並びになりやすいため、ストレージ性能の向上は差別化要素として強力な武器となる可能性が高い。
UFS 5.0 は、スマートフォンの記憶技術の次の基準になる可能性を秘めている。

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