OpenAIは2025年11月4日、同社が開発する先進的な動画生成AIモデル「Sora」を搭載した同名の公式アプリのAndroid版を、Google Playストアで正式にリリースした。日本を含む米国、カナダ、韓国、台湾、タイ、ベトナムなどの国々で利用可能となっている。これにより、先に公開されていたiOS版に続き、主要なモバイルOSでSoraの強力な動画生成機能が利用できるようになった。
モバイルで完結する高度なAI動画生成
「Sora」アプリは、テキストプロンプトを入力するだけで、高品質な動画を生成できるAIツールである。Android版アプリの登場により、世界で最も普及しているモバイルOSのユーザーが、PCを介さずに手元のデバイスで直接、アイデアを映像化することが可能となった。
アプリの主な機能は以下の通りである。
- テキストから動画生成:ユーザーが入力したテキストに基づき、AIが内容に沿った動画と音声を自動で生成する。「映画のような」「アニメ調」「写実的」など、スタイルの指定も可能だ。
- 画像から動画生成:静止画をアップロードし、それを動かす形での動画生成にも対応する。
- SNS型フィード:他のユーザーがSoraで生成し、共有した動画をTikTokのような縦型フィードで閲覧できる。気に入った作品を「リミックス」し、新たな動画を作成する機能も備える。
- Cameo(カメオ)機能:iOS版で先行導入されていた、ユーザー自身の顔やキャラクターをAI動画に登場させる機能も搭載されている(一部機能はAndroid版では順次対応予定)。
誰でも利用可能、普及が加速
Soraアプリは当初、招待制で提供されていたが、現在は招待コードなしで誰でもダウンロードして利用を開始できる。基本的な機能は無料で利用できるが、生成できる動画の数や高度な機能(例:Cameo機能の高度な設定など)の利用には、有料プラン「Sora Pro」への加入が必要となる。
Android版のリリースは、AIによる動画生成の民主化をさらに加速させるものだ。リリースからわずか2日足らずで、Google Playストアでのダウンロード数は「50万以上」を記録しており、その注目度の高さを示している。
ソーシャルAIへの布石
OpenAIはSoraアプリを単なる動画生成ツールとしてだけでなく、ユーザーが作品を共有し、互いにインスピレーションを与え合う「ソーシャルAI」プラットフォームとして位置づけている。Androidという巨大なエコシステムにアプリを提供することは、この構想を実現し、既存のソーシャルメディアに対抗する上で極めて重要な一歩となる。
一方で、AIによるディープフェイク動画の拡散など、倫理的な課題も指摘されている。OpenAIはSora 2の発表時、著作権者や著名人が自身の肖像の利用を拒否できる仕組みを導入するなど対策を進めているが、普及の加速とともに、規制や倫理ガイドラインの整備がさらに急務となっている。
まとめ
OpenAIは2025年11月4日、動画生成AI「Sora」の公式アプリをAndroid向けに正式リリースした。日本を含む主要国で提供が開始され、すでに50万ダウンロードを超えるなど急速に普及が進んでいる。iOS版に続くAndroid版の投入により、モバイルデバイスでのAI動画生成が本格的に大衆化するフェーズに入った。
Soraアプリは、テキストから動画を生成する基本機能に加え、SNSのような共有フィードや「Cameo」機能も備え、単なるツールを超えたソーシャルプラットフォームを目指している。この急速な普及は、創造性の新たな可能性を開くと同時に、AI生成コンテンツの倫理的な課題への対応を社会全体に迫るものとなるだろう。