SIEは2025年11月6日、PS5のリモートプレイ専用機「PlayStation Portal リモートプレーヤー」において、単体でのクラウドストリーミングを可能にするバージョン3.0.0の配信を開始した。
これまでPS Portalは、PS5本体の電源を入れ、リモートプレイで遊ぶことしかできなかった。しかし今回のアップデートにより、PlayStation Plusの最上位プラン「プレミアム」に加入しているユーザーは、PS5本体を介さず、PS Portal単体でクラウドストリーミングゲームを直接プレイできるようになった。
待望のクラウドストリーミング機能がついに実装
PS Portalは2023年11月に発売された、8インチ液晶ディスプレイとDualSenseワイヤレスコントローラーの主要機能を搭載した携帯型デバイスだ。発売以来、その仕様は「PS5のリモートプレイ専用」に限定されていた。
2025年11月6日に配信が開始されたシステムソフトウェア バージョン3.0.0は、このデバイスの根幹的な機能に大きな変更を加えるものだ。最大の変更点は、「PlayStation Plus プレミアム」加入者向けに提供されているクラウドストリーミング機能への単体アクセスが可能になったことである。
これにより、ユーザーはWi-Fi環境さえあれば、PS5本体の電源や状態を気にすることなく、PS Portal単体で「ゲームカタログ」や「クラシックスカタログ」に含まれる数百タイトルの対応ゲームをストリーミング経由で直接起動し、プレイできるようになった。
発売当初からの「最大の弱点」を克服
PS Portalは発売当初、PS5本体を所有していることが前提の「リモートプレイ専用機」という仕様に対し、一部のユーザーからは批判的な声も上がっていた。特に、Sony Interactive Entertainment自身がサービスを展開するPlayStation Plusのクラウドストリーミングに、なぜか非対応である点が「最大の弱点」として指摘され続けてきた。
今回のアップデートは、発売から約1年を経て、この最大の弱点を克服する待望の機能追加となる。これにより、PS Portalは単なる「PS5の周辺機器」から、独立した「携帯型クラウドゲーミングデバイス」へと、その製品価値を大きく高めることになった。
利用方法と必要な環境
クラウドストリーミング機能を利用するには、以下の条件が必要となる。
- PlayStation Plus プレミアムへの加入:クラウドストリーミングは最上位プランの特典機能である。
- Wi-Fi接続環境:Sony Interactive Entertainmentは、快適なプレイのために最低15Mbps以上のインターネット接続速度を推奨している。
アップデート後、PS Portalのホーム画面にはクラウドストリーミング可能なゲームに専用のアイコンが表示され、PS5のリモートプレイを介さずに直接ゲームを開始できる。
その他の利便性向上アップデート
バージョン3.0.0では、クラウドストリーミング対応以外にも、複数の利便性向上が図られている。
- 公共Wi-Fiへの接続サポート改善 ホテルや空港、カフェなどで提供される、ブラウザでの追加認証(利用規約への同意やパスワード入力)が必要な公共Wi-Fiネットワークへの接続が改善された。接続時にPS Portal上に表示されるQRコードをスマートフォンでスキャンし、スマホ側で認証を完了させることで、従来は接続が難しかったネットワークも利用可能になる。
- タッチパッドのビジュアルフィードバック改善 DualSenseコントローラーのタッチパッド操作をシミュレートする際、画面上の仮想タッチパッドに視覚的なエフェクトが追加され、操作感が向上した。
- バッテリー残量のパーセンテージ表示 設定メニューから、バッテリー残量を具体的なパーセンテージ(%)で表示するオプションが選択可能になった。
まとめ
PlayStation Portalは、2025年11月6日に配信されたバージョン3.0.0へのアップデートにより、その製品コンセプトを大きく飛躍させた。最大の変更点は、これまで非対応だった「PlayStation Plus プレミアム」のクラウドストリーミング機能に単体で対応したことだ。
これにより、PS5本体が必須という「リモートプレイ専用機」の制約から解放され、Wi-Fi環境下であればPS Portal単体で数百タイトルのゲームを遊べる、強力な携帯型クラウドゲーミングデバイスへと進化した。公共Wi-Fiへの接続サポート強化など、携帯性も向上しており、発売から1年を経て、PS Portalは多くのユーザーが待望していた本来のポテンシャルを発揮し始めたと言えるだろう。
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