AMD は、2026 年投入予定の次世代 GPU アーキテクチャ「RDNA 5」において、レイトレーシング処理で使用される DGF(Dense Geometry Format)をデコードするための専用ハードウェアを搭載する計画であることが明らかになった。これにより、レイトレーシング性能の大幅な改善を狙う。
DGF とその役割
DGF は、三角形メッシュをメッシュレット単位に分割して圧縮保存するジオメトリ形式だ。この形式を用いることで、BVH(Bounding Volume Hierarchies)の再構築に伴う負荷を軽減でき、GPU のキャッシュにより多くのジオメトリ情報を保持できるようになる。 RDNA 世代以前では、DGF のデコード処理は汎用演算ユニット(Compute Unit)側で行われていた。
RDNA 5 における専用ハードウェアの導入
RDNA 5 では、この DGF のデコードを専用のハード回路で処理する設計が導入される見込みだ。これにより、従来よりも少ない演算リソースで高速なデコード処理が可能となり、レイトレーシング処理全体の効率向上につながる。
このアプローチは、NVIDIA の DMM(Displaced Micro-Mesh)に似た処理方式と位置づけられており、専用ハードの搭載によってデコード処理時間を削減できると見られている。
意義と注意点
専用ハードの導入は、レイトレーシング性能が課題とされてきた AMD GPU にとって重要な改善となる可能性がある。特に高ポリゴンの描画や複雑なシーンにおいて、効率的にジオメトリを扱える点が強みになる。
ただし、今回の情報は特許公開や技術ブログ、リークをもとにしたものが中心であり、RDNA 5 の最終仕様や性能は正式発表まで確定しない。デコード専用ハード搭載だけで性能のすべてが保証されるわけではなく、アーキテクチャ全体の設計やドライバー最適化、他の機能との相性も重要な要素となるだろう。